和食の真骨頂、季節感を料理の見た目で表現すること
和食の真骨頂、季節感を料理の見た目で表現すること は、昔から日本人が大切にしてきたことです。春夏秋冬に応じて季節の旬の食材を使うのはもちろん、季節に合った器を利用して料理に彩りを与えることで季節感を楽しみます。また、季節の花や葉などで料理を飾りつけることで四季の美しさを表現します。
季節の移ろいが映える和食
新しい季節の到来を料理で表現する日本人は、昔から季節の移ろいに心を深く動かされてきました。新しい季節の到来をいち早く感じ取り、過ぎ行く季節を惜しむ。
そんな変化を大切にする心は、和食にも深く反映されています。単に四季折々の旬の食材を使うだけでなく、旬の時期を「はしり」「旬」「名残」と3つに分けて、その繊細な味の変化までも楽しみ、江戸時代には初物をいち早く味わうのが粋とされ、「女房を質に入れても初鰹」という川柳が残されているほどです。
季節感を引き立たせる上で重要な器
季節に合わせた植物の葉や花を用いた「かいしき」は、料理に文字通り花を添え、季節感を美しく演出します。例えば春の「かいしき」は、山茶花、梅、菜の花など。夏は、菖蒲、蓬、若朴葉など。といったように、料理に文字通り花を添え、季節感を美しく演出します。
料理の衣装とも言える器も、季節感を引き立たせる上で重要な役割を果たします。和食では、ご飯は茶碗、汁物はお椀、焼き魚は平皿、煮物は深皿など、素材も形も大きさも違う多種多様な器が使われます。そして、春は華やかな色や形のもの、夏はガラスや青磁など涼しげな素材、秋は実りを感じさせる彩りのあるもの、冬は厚手の陶器や木製など温もりのあるもので季節感を演出します。
さらに、もてなしの場ではこうした演出が、料理や器を超えて、食事をする空間全体にまで及びます。玄関に打ち水をし、季節の掛け軸や草花を飾り、料理を楽しむための最善の空間を作りあげます。このように室内を飾ることを「しつらえ」と言いますが、「もてなし」や「しつらえ」の心も、和食を形作る大切な要素になっています。