特別な日「ハレの日」に心を伝える和柄
最近街でよく見かける和柄。日本の伝統文様である和柄には日本人ならではの感性や美学が詰まっています。
昔から祝い事など、特別な日としての「ハレの日」に願い込めて、道具にあしらわれ使われてきました。この記事では代表的な和柄の由来や意味、それに込められた願いを紹介します。
特別な日「ハレの日」に心を伝える和柄で豊かな生活を過ごしてみてはいかがでしょう。
庶民の生活に溶け込むことでと進化した和柄

和柄の原型である文様は幾何学の形が基本形となり、つなぎ模様になっているものです。
文様は日本だけでなく世界各地で生み出されてきました。それぞれのその土地で意味を持っており、衣服や食器、インテリアなどに文様を装飾して普段の生活の中で使われていたことが分かっています。
例えば、モスク等の建造物の異国情緒溢れるイスラム文様やイギリスを代表するタータンチェックなど、世界各地で文様はその国の伝統と文化を背景に生まれ受け継がれてきました。
日本で和柄と呼ばれ親しまれているデザインの多くは、飛鳥・奈良時代に大陸から伝わり平安時代初期頃まで、中国などの文様に影響を大きく受けていました。
平安時代中期頃には日本らしいデザインが貴族の間で定着。ちょうどその頃は、源氏物語が生まれ、ひらがなも誕生し、日本文学が大きく発展する時期とも重なります。歴史的なデザインを継承しながら、日本ならではのデザイン的な要素も取り入れた新しい時代へと生まれ変わってきました。
さらに鎌倉時代には武家に、江戸時代には庶民に親しみ深い文様となって人々の生活に溶け込むようになり、さらに様々なデザインが生まれました。その時代の日本の文化や流行、他国の文化も柔軟に取り入れながらアレンジし、現代まで広まってきました。
和柄に込められた意味を知り心のやりとりを豊かに

オリンピックや大ヒットアニメの影響もあり、最近は街のいたる所で和柄を見かけるようになりました。伝統的でありながらとてもおしゃれなデザインが多くの人に受け入れられているのでしょう。
和柄は古くから日本人が大切にしている美しい自然や身の回りのものをモチーフにしたデザインが多くあり、主にお祝いなどおめでたいときなどに使われていました。
例えば、贈り物などの包みとして使われる風呂敷などに、和柄をあしらうことで、幸せを願い、おめでたいことを大切にする気持ちを届ける意味を込めて使われました。
このように和柄はさまざまな場面で伝えたい願いにふさわしい使われ方をします。ここからは代表的な和柄の由来や意味、それに込められた願いを紹介します。
青海波
大海原で無限に広がる穏やかな波模様に未来永劫と平安を重ね、「穏やかな暮らしがいつまでも続きますように」という願いが込められています。
七宝
仏教の七宝を表し、円形が永遠に連鎖し繋がる柄であることから「円満で調和なご縁がありますように」という願いが込められています。
矢絣
結婚の際に矢絣の着物を持たせると出戻ってこない(弓で射た矢は戻らない)といわれるようになり「戻らずにまっすぐに進みますように」という願いが込められています。
紗綾形
連続の卍つなぎが不断長久(絶えず永く続く)という意味から「我が家が繁栄しますように」という願いが込められています。
亀甲
亀は昔から長寿、吉兆の象徴とされたことから「長生きしますように」という願いが込められています。
千鳥
千鳥が飛ぶ様や群れでいる様子を文様化したものです。鳥の柄は「富貴を運ぶ」として喜ばれることがあり、また千鳥は群れをなして飛ぶ姿も好まれます。
これらの和柄は、着物や風呂敷、茶碗や湯のみなどの食器の柄、建物の天井や壁、扉など、さまざまなところで目にします。例えば、和柄をあしらった食器は一年を通じた行事食の食卓でも使われています。
季節折々の行事やお祝いの日に食べる特別な料理である行事食は、旬の食材を取り入れたものが多く、季節の風物詩のひとつでもあります。
行事食が誕生した背景には、四季折々の年中行事があったことが挙げられ、本来、年中行事は「神様を呼び、ご馳走を捧げる日」で「ハレの日」とも呼ばれ、普段の食卓にはないご馳走を並べて日常とは区別してきました。
食べる物だけではなく、着る物、室礼(しつらい:飾りや調度をその場にふさわしく整える)なども日常と非日常で区別してきました。飾りや調度をその場にふさわしく整えるという意味では、和柄をあしらった器はピッタリなものと言えるでしょう。
和柄には日本の文化を礎に日本人ならではの感性が詰まっています。特別な日「ハレの日」に心を伝える和柄で豊かな生活を過ごしてみてはいかがでしょう。
食卓を和紙で彩る和柄のおかずカップ

最後にご紹介するのは和柄のおかずカップ オモテワシケースです。
一般的な和柄のおかずカップは、フィルムに和柄を印刷したものなどがありますが、オモテワシケースは和柄のすかし和紙とフィルムを貼り合わせた素材でできている新しいおかずカップです。
オモテワシケースは、「小梅」「麻の葉」「浮雲」「市松」の4種類の和柄を取り揃えていて、それぞれの和柄には次のような意味が込められています。
小梅
その名の通り梅の花をかたどった模様です。梅を模した紋や文様は数多くあり、春を告げる花として古来より日本人に親しまれています。また、梅の花は学問が栄えると咲くといういい伝えがあり、そのため学問関係で縁起の良い模様とされています。
麻の葉
麻の葉に似ていることから名づけられた麻の葉には魔除けの力があると信じられています。成長が早くまっすぐ伸びることから、子供の成長を願う縁起の良いものとされています。歌舞伎の町娘役が衣裳に付けることが多く、江戸時代には若い娘に好まれた柄です。
浮雲
雲をモチーフにした模様のことをいいます。昔から空の上には極楽浄土があるとされており、そのため雲が流れる様は良いことが起こる前兆とされ、未来永劫良いことが続くように、という願いが込められているようです。
市松
古くから存在していた市松模様。江戸時代の歌舞伎役者のトレードマークとして使われたことからも最もポピュラーな和柄でしょう。模様が途切れることなく続いている様子から、子孫繁栄、事業拡大といった縁起の良いものとして扱われています。
さらにそれぞれの和柄ごとに淡い和色を施したタイプもあるので、お料理を提供される場面、例えば季節を意識した演出も可能にします。
和紙と和柄という二つの和文化を取り入れながらも、モダンな雰囲気のオモテワシケースは、和洋どのような場面でも使い道にあふれています。
行事食としてお正月のおせちの仕切りやちょっと高級なお弁当など、「ハレの日」の特別なときのおもてなしにピッタリの一品です。