アウトドア料理で活躍、使い捨てアルミ容器の正しい使い方と注意点

アウトドア料理の面倒な後片付けから解放するアイテムとして人気の使い捨てアルミ容器。種類もたくさんありお料理に合わせて使いこなせば、バリエーション豊かなアウトドア料理を楽しむことができます。

そこで今回は、そんな使い捨てアルミ容器の正しい使い方と注意点について、過去に問い合わせのあった内容を元にお伝えします。アルミ容器は使い方を誤るとトラブルとなりせっかくのレクリエーションが残念なことになっていまいます。正しく使用して楽しい時間をお過ごしください。

使い捨てアルミ容器を活用してキャンプ飯をさらに楽しく

種類豊富な使い捨てアルミ容器

最近、新たなキャンプブームが到来していると言われます。コロナの影響もあってか、2020年のオートキャンプの人口は前年から減少したようですが、利用者層の拡大や家キャンプなどシーンの多様化によって、アウトドア人口は将来1000万人を超えると予想されています。

そのブームを牽引しいている理由の一つが、アウトドア料理・キャンプ飯。実際、アウトドア料理のメニューは以前よりぐっと広がっていて、「ピザ」「ホットサンド」「パエリア」「スペアリブ」「パスタ」「炊き込みごはん」などとてもバラエティに富み、誰でも楽しめるような内容になっています。

ただ、楽しみである一方でアウトドア料理での悩みの種となっているのが食事の後の片付け。調理後の鉄板や鍋にはどうしても焦げがこびりついてしまいがちで、こびりついた焦げはなかなか落ちなくて洗いもので苦労することがあります。

そこで食事の後の片付けをラクしたいお手軽派にうってつけなアイテムが使い捨てアルミ容器です。軽くて持ち運びに便利、使い捨てなので後片付けもラクチンで、さらに自分の道具だと避けたい焚き火の火で付着するススも気にせずに調理できます。

また、使い捨てアルミ容器は、丸型、角型、楕円型など種類も豊富なのでお料理に合わせて色々な種類のアルミ容器を用意しておけば、ますますキャンプ飯の楽しみが増えます。

そんな魅力的なメリットがたくさんの使い捨てアルミ容器ですが、使い方を間違えるとせっかくのお料理が残念なことになってしまいます。そこでこの記事では過去にあった問い合わせの内容をもとに使い捨てアルミ容器の正しい使い方と注意点をお伝えします。

アルミ容器のトラブル第一位は、空焚きによる穴あき

アルミ容器の空焚きによる穴あき

まず、知っておいた方が良いのがアウトドアで使われる火の温度。鉄板の温度は条件によって上下することはありますが、火の真上は約220度、その周辺は約140~170度になるようです。焚き火の直火は700~800度、キャンプでも使われるガスバーナーなどは1200~1500度まであがります。

使い捨てアルミ容器の材料であるアルミの溶解温度は660度ですが、直火での使用を想定しており、容器の中に具材が入っている“正しい状態”で使用いただければ何ら問題ありません。

では、“正しくない状態”とはどのような状態なのでしょうか。

アルミ容器の中身の水分が少ない、もしくは粘度が高い場合に空焚きになる可能性があります。また容器内に水分があった場合でも、中身が側壁に密着することで稀に空焚きの状態になる可能性があります。

アルミ容器は、厚さがおよそ40μmの薄い材料(アルミ箔)でできています。薄いアルミ箔は紙に比べ熱伝導率が非常に高く、水分を含んだ内容物がないところに炎が当たると一瞬で空焚き状態になってしまう場合があります。(空焚きでの穴あきは写真に見られるアルミ箔の“肌荒れ”や“白濁”が特徴です)

さきほども伝えたとおりアルミニウムの溶解温度は約660度ですが、ご家庭のガスコンロ(都市ガス)の炎では約1000度まで加熱されるので、空焚き状態ではアルミ容器は比較的短時間で溶け出します。

また、空焚き状態になったアルミ容器にスープなどの水分を投入すると、アルミが一部溶けた部分が急冷却され、割れたような穴あき(亀裂)が発生し周囲に危険を及ぼすことがあります。

炎の出ないIH調理器具でも、穴あきトラブルは起こる

家庭で使用するのはもちろん、最近は手軽さからIH調理器具をキャンプ場へ持ち込むキャンパーが増えているようです。

IH 調理器具の場合、火が見えないので、高温になったアルミ容器に触れ火傷を負うといった具合にうっかりしたミスで発生するトラブルもあります。

また、IH 調理器具でアルミ容器を使用される場合、ガスコンロに比べて熱効率が優れていることで、短時間で空焚き状態になりその影響が広範囲に及ぶことがあります。

写真はガスコンロ、IH 調理器具それぞれで特に影響の大きかった事例ですが、IH 調理器具での空焚き穴は容器の側面上方まで達する場合があるのが特徴的です。

いかがでしょう。鉄板、焚き火の直火、ガスコンロ、IH調理器具など、さまざまな火で使うことができる使い捨てアルミ容器ですが、使い方を誤るとさまざまなトラブルが発生することを理解いただけたと思います。改めてですが注意事項をまとめてお伝えします。

  • 絶対に空焚きをしない

    空焚きをしてしまうと、容器に穴があいたり、溶けたり、さらには炎焼する可能性があります。また、空焚き状態になったアルミ容器に水分を投入すると急冷却され、割れたような穴あき(亀裂)が発生することがあります。

  • 必ずIHヒーターの中心で調理する

    IH 調理器具の中心位置から外れた位置で使用した場合、容器側面、容器の縁の部分が溶けたり、表面が変色、形状が変化してしまう可能性があります。

  • アルミ容器を別の用途で使用しない

    アルミ容器を再利用した場合、何らかの事故が発生する可能性があります。

  • 容器が非常に高温になっている場合がある

    火にかけた後のアルミ容器は非常に高温になっています。特にIH 調理器具の場合、火が見えないので、気づかずに高温になったアルミ容器に触れ火傷を負う可能性があります。

アルミ容器を使って料理の仕込みをするときは要注意

アルミ容器の腐食による穴あき

つぎにご紹介するのは腐食によるアルミ容器の穴空きです。少し難しい内容ですが前の晩にアルミ容器に料理を仕込むような使い方をされる人は読んで頂きたい内容です。

腐食によるアルミ容器の穴空きでよく知られているのは、梅干し、みそ、しょうゆなどの酸や塩分の強い食べ物に長時間触れていたり、ダシやスープ等の汁物を入れた状態で長時間おかれた状態にあると、変色したり穴があく恐れがあるというケースです。

こちらは製品の使用上の注意事項にも書かれていることがあるので、みなさんよくご存じかと思います。

一方、あまり知られていませんが、アルミ容器の中身が酸や塩分が含まれていない具材であっても、アルミ容器に腐食が起こったというケースが報告されています。

これは孔食電位腐食(※)と呼ばれ、アルミ容器を鉄やステンレス等の材質の上に濡れた状態で一晩でも放置すると、発生することが確認されています。

ただし、瞬間的に発生することはほとんどないため、通常の料理時間では問題ありません。

アルミ容器と接触する異なる金属(ステンレス又は鉄)の上に、水がない事を確認(濡れている場合は拭く等)して電食が発生しないような状態にすることで防ぐことがきでます。

(※) 電食(孔食電位)とは

種類の異なる金属を接触させ電解質溶液中に浸漬すると、両者の標準電極電位が異なるため、イオン化傾向の大きい金属(卑な金属)と小さい金属(貴な金属)間に電位差が生じ電池(局部電池等)が形成され電流(局部電流)が流れることにより腐食が生じます。

この様に異なる金属を電極とした、局部電池の形成による電気化学反応で生じる腐食を異種金属接触腐食・ガルバニック腐食・局部電流腐食と呼びます。

電流は接触部では貴な金属から卑な金属へ流れ、溶液中では卑な金属から貴な金属へ逆に流れます。その結果、卑な金属は金属イオンとなり溶液中に溶解し腐食が促進されます。

電位の低い金属(イオン化傾向の高い金属)が陽極に、電位の高い金属(イオン化傾向の低い金属)が陰極に相当します。両者の関係から、電位差が大きいほど、電流が増大するほど腐食も促進される事となります。

アルミはイオン化傾向の高い金属(卑な金属)で、置かれた場所がステンレスまたは鉄(イオン化傾向の低い金属(貴な金属))であればその電位差によりアルミがイオンを放出し、その跡が腐食すると考えられています。

腐食が進行するスピードはその環境により異なります。同じ状況で放置された容器でも穴が空く場合と空かない場合があります。

アウトドア料理やキャップ飯で当日の工程をなるべく省きたいという考えから、前の晩に仕込みをしておくことがあるかと思います。その際アルミ容器に中身を入れた状態で長時間放置することはなるべく避けて、これまでお伝えしたことをよく留意されてお使いなることをお勧めします。

アルミ容器の腐食による穴あき

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